有馬記念 2019

**初の単行本「超競馬考」発売中!**

世界一馬券が売れるレースと言われる有馬記念

しかし近年は、秋天orジャパンカップor香港を最大目標とする路線が増え、宝塚記念同様メンバーが集まりづらい寂しいグランプリと化していました。しかし今年は違う。久々にワクワクする豪華メンバーと言えるのではないでしょうか。
少し振り返ってみましょう。

【2016年 有馬記念】
サトノダイヤモンドが優勝。
G1馬はサトノダイヤモンド、キタサンブラック、ゴールドアクター、ミッキークイーン、マリアライトの5頭が参戦。

【2017年 有馬記念】
キタサンブラックが優勝。
G1馬はキタサンブラック、クイーンズリング、シュヴァルグラン、サトノクラウン、ミッキークイーンの5頭が参戦。

【2018年 有馬記念】
ブラストワンピースが優勝。
G1馬はモズカッチャン、マカヒキ、サトノダイヤモンド、ミッキーロケット、レイデオロ、シュヴァルグラン、キセキの7頭が参戦。

そして今年。G1馬はアーモンドアイ、アエロリット、アルアイン、キセキ、サートゥルナーリア、シュヴァルグラン、スワーヴリチャード、フィエールマン、リスグラシュー、レイデオロ、ワールドプレミア実に11頭が参戦。明らかに層が厚いグランプリになりました。嬉しいですね。

◆展開◆
先手を主張しそうなのはアエロリット、キセキ、スティッフェリオ、クロコスミアあたりでしょう。アエロリットかスティッフェリオが逃げそうですが、外を引いたヴェロックスが思い切って行く可能性もありますね。アーモンドアイも中団にはつけそうです。サートゥルナーリア、スワーヴリチャード、リスグラシューあたりも早めに仕掛けていくタイプなのでロングスパート戦になりそうです。展開自体は後方に向きそうですね。

◆枠順◆
初めて枠順の生中継を見ましたが楽しそうでしたね。後ろに観客席があったように見えましたが、プロ野球のドラフトと同じく一般公募があったんでしょうか?アーモンドアイの8枠を願っていた僕は「おい!大魔神!!」と叫んでしまいましたが。
枠順は有力馬が内を引きました。アルアインやアエロリットは絶望的な枠でしょう。リスグラシュー、エタリオウ、フィエールマンあたりは文句なしの絶好枠を引きましたね。5枠の2頭は及第点でしょうか。

◆天候◆
これが厄介。どうやら一雨ありそうです。現時点での中山競馬場の天気はこちら。

レイデオロあたりは綺麗な馬場でないと駄目らしいのでますます厳しいでしょう。

◆全頭解説◆
1番スカーレットカラー
父は3歳で有馬を制したヴィクトワールピサ。母父ウォーエンブレムの組み合わせは今年のオークス4着馬ウィクトーリアと同配合だ。前走の敗因を+14kに求めたとしても、やはりピサ産駒自体は中距離以下で切れ味を発揮するタイプが多く、スカーレットカラーも1800がベストの感。内は空かないだろうしここで突っ込んでくる像は思い描けない。

2番スワーヴリチャード
この馬の最大目標はジャパンカップだった。それは間違いない。また、左回りの広いコースがベストであることも間違いないと見ている。サッと動けるタイプではなく、内枠もこの馬にはリスクが高い。実際、人気を裏切った皐月賞、安田記念、秋天は内の枠である。もちろんどんな馬にとっても「捌ければ」内枠が最も距離損の少ない枠である。ジャパンカップはダイワキャグニーが最内をぽっかり空けて逃げるというアシストがあった。ただ、状態は良いらしいのと、思っていたより遥かに人気が無い。

3番エタリオウ
枠順抽選後のコメント「すごく良い枠」が印象的。ジャパンカップで元のブリンカーに戻し、久々に手応えのある走りが戻ってきたようだ。似たキャラクターであったサウンズオブアースも4歳の有馬記念であわやの2着と好走。走っても驚けないが、力が足りているのかという疑問も拭えない。また、前走時マイナス16kで当日馬体重にも注意が必要。一言で評するなら「惑星」

4番スティッフェリオ
前走は正攻法で大敗。さすがに敷居が高かったが、舞台設定が好転するここでも敷居は下がっていない。逃げたところでスローで放置される可能性はまず無いだろうし、色気を出して控えたところで相手が悪すぎる。

5番フィエールマン
エタリオウと同じく枠順抽選後の興奮が見て取れた陣営。凱旋門賞の大惨敗自体は、今回の評価に影響するものではない。出来は良いらしいし、精神的な部分を予想するのは不可能だからだ。シンプルに考えて、状態がまともであれば今の日本のトップ層に位置する実力馬であることは間違いない。春天でマッチレースを演じたグローリーヴェイズも香港ヴァーズを勝ち力の入る一戦だ。池添はある程度出していくつもりだろう。

6番リスグラシュー
宝塚記念と有馬記念はリンクすると昔から言われるが、同年での連覇は2009年ドリームジャーニーまで遡る。それほどにハードルは高いが、コックスプレートを制し日本競馬史に新たな一頁を加えた彼女ならとも思わせてくれる。世界的にトリッキーと言われるムーニーバレーでロングスパートから捲り一閃した機動力がこの馬の強みだ。展開も実力発揮に申し分なし。

7番ワールドプレミア
菊花賞からの3歳馬は非常に好成績だが、好走馬には春の実績馬(つまり既に完成度の高い馬)が多いことも事実。この馬の完成度が未だ低いことは武豊も再三指摘しており、この有馬記念に臨むコメントも控えめな内容に終始している。4枠に「レイ」デオロ、「ワ」―ルドプレミアが入ったことや、武豊効果もあり、実力以上に買われるのは明白で少なくとも美味しい馬券にはならないだろう。

8番レイデオロ
落日の金王。衰えたと見るか、力を発揮できていないと見るか。昨年2着の舞台ならと思わせるが、まず雨なら厳しいだろうし、三浦皇成のコメントを見るに難しい部分がありテン乗りで復活させるのは極めて困難と見る。2500mを走り切る気持ちがもう残っていないとさえ思う。

9番アーモンドアイ
稀代の名牝が暮れのグランプリに矛先を向けてきた。とは言え、香港カップを目標にしていたが体調を崩してのスライド参戦だ。体調が万全であることを陣営も強調していて、おそらくそれは間違いないだろう。しかし中山2500mが、アーモンドアイにとって狙いすました適舞台で無いことは確かだ。彼女にとって秋天より舞台設定が好転することは絶対になく、一方で他馬の中には中山2500mが向きそうな馬もいる。つまりアーモンドアイにとって他馬に差を詰められる状況であることは間違いない。また、ライトファンがしこたま馬券を買ってオッズを下げることが容易に予想され「来たら諦める」の一手に迷い無し。

10番サートゥルナーリア
ダービー、秋天と軽視してきたが、それはこの馬の持ち味は一瞬の加速力であり、持続力では無いと見ているからだ。皐月賞で突き抜けると思いきや辛勝となったのもその辺りが影響しているだろう。では中山2500mはどうか。舞台は悪くないと思う。ただ、メンバーの組み合わせが悪く感じる。前述の通り、早めに勝負に来る一流馬が揃った流れは、おそらくこの馬に向かず一瞬の加速力をどこで使うかが非常に難しいだろう。枠も個人的には微妙かなと。

11番キセキ
昨年は毎日王冠からハイパフォーマンスを発揮し、さすがにお釣りがなかった感じ。そういう意味では今年の方が気力は充実しているかもしれない。ただ前が忙しそうな組み合わせがどうかだし、脚質の割に小回りの走りが冴えない印象も。

12番クロコスミア
エリザベス女王杯のような緩い流れにはならないはずで、ここは厳しい。腹をくくって逃げられたとしても残り目はないはず。

13番アルアイン
周りに馬を置いて闘争心をあおりながら内差しを狙うしか現状チャンスはない馬で、この枠は死に枠と言える。

14番ヴェロックス
春から実績のある菊花賞組と言えばこの馬も忘れてはならない。枠は残念だ。ただ、川田の性格を考えると中途半端に外を回り続ける競馬はせず、かなり強気に出していくか溜めて新味に賭けるか(8枠から4着に差し込んできた父ジャスタウェイのような競馬)をしてきそうな気がしている。今まで通りの正攻法で何とかなる相手でないことは理解しているはずだ。

15番アエロリット
枠順抽選後の津村のコメント「残念です」が全てを示しているだろう。もともと右回りが不得手と言われてきて、インピタが必須と思われた今回でピンク帽。行き切るしか無いと思うが、この枠からでは息が持たないだろう。

16番シュヴァルグラン
腹をくくって後方からになるだろうが、この馬はその競馬ができるし展開も向くのでは。春先のドバイではスワーヴリチャードやレイデオロを下しているし、昨年は8枠から大穴をあけている。ただし、昨年は大外を回ってきたわけではなく、最終コーナーも出来る限り距離損無いように乗られている。ボウマン→福永がどう出るか。

◆結論◆

◎リスグラシュー
○フィエールマン
▲ヴェロックス

皆さんも良い有馬記念を


最新情報をチェックしよう!

競走見解の最新記事8件

>無料メルマガ「青の京大競馬」

無料メルマガ「青の京大競馬」

医学生時代から配信を続けている無料メールマガジン。
重賞の狙い馬をシンプルに配信していきます。
【NEW!】2018年も年間プラス回収率を達成し、単行本発刊決定しました!

CTR IMG