天皇賞春 2020

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参考記事:【Winning FIVEの復権】

フローラSで久々に片目を開けましたが、G1は当たっていません。

今年から始めたG1データまとめ記事はできる限り主観を省き、過去のデータを用いて客観的にアプローチしているつもりなのでデータを扱う難しさ(もしくは限界)を実感しています。過去のデータをポンとAIに入れて答えが出るようなものではないということです。

あらゆるファクターに「重み」というものが存在するはずで、それらがどのように相互作用を及ぼしているかは容易に紐解けるものではありませんね(例えばファクターAからは「買い」である馬が、ファクターBからは「消し」であることはデータ分析において良く生じる問題です。この場合、ファクターAとファクターBのどちらに「重き」を置くかが肝要と言えます)。

【高松宮記念 2020】であれば、今年もシルクロードS組(9人気1着モズスーパーフレア)が連対したと言えますが、近年において逃げ馬は全滅だったことや1200mからの臨戦組が優勢であったことに重きを置けば逃げ馬モズスーパーフレアや1400mからの臨戦であったクリノガウディー(1位入線後4着)、グランアレグリア(2着)、ダイアトニック(3着)らを軽視するのは当然の流れであったとも言えます。

桜花賞であれば、デアリングタクトはエルフィンSからの直行ですがこの臨戦は2011年マルセリーナ以降結果を出していませんし、結果的にキャリア3戦目での桜女王戴冠は40年ぶりで、これはローテに重きを置いた過去データ分析では当てられないのです。

ただし、難しいのは「毎年当てはまる傾向など存在するはずがない」ということです。超競馬考でも「全ての予想を的中させようとしてしまうと、自分の予想の根幹を見失う」と書きましたが、たとえば3年のうち2年当てはまるような傾向を発見したとして、それがたまたま今年当てはまらなかったからといってその傾向を使えないと破棄してしまうのは早計です。

予想に活かすという意味でデータ分析は暗中模索と言えますが、客観的な記事は「あ、このレースはこんな感じのレースだったな」と概形を把握しやすくなるはずですから今年は続けてみます。

【近年の連対馬6頭】

さて今週は天皇賞春。距離短縮が叫ばれる昨今ですし、歴史ある長距離G1が見られるのも残り僅かかもしれません。
まずは、どういう人気馬が人気に応えて好走しているのか見ていきましょう。

現在3年連続で1人気馬が連対を果たし、比較的平穏なG1と言えます。
脚質的には直線を向いて前にいる馬がそのままなだれ込むというイメージ。レインボーラインを除く7頭すべてが最終コーナーを3番手以内で通過しています。平坦な京都であることと、長距離戦で全頭に余力が少なくなって挽回が効きにくいことなどが考えられるでしょうか。かと言って、前に行きそうな馬を買えばよいのかというとそうではなく、例えば昨年ワンツーとなったフィエールマンとグローリーヴェイズはともに前走で差しの競馬をしています。本番で上手に騎手が乗ったということでしょう。

キタサンブラック、フェノーメノの連覇やシュヴァルグラン、マイネルキッツ、カレンミロティックらの連続好走もあったように路線的になかなか主役が変わりづらい傾向もあるでしょう。当然フィエールマンは有力でしょう。

ステップレースはどうでしょうか。
2016~2018年は3年連続で大阪杯組と阪神大賞典組のワンツーが続いていましたが、昨年は全滅でした。しかし昨年は大阪杯組の出走がゼロ、阪神大賞典組も駒を進めてきた最先着馬がカフジプリンスでしたから小粒感は否めません。今年も大阪杯組はゼロですが、阪神大賞典組からはユーキャンスマイル、トーセンカンビーナ、メイショウテンゲン、メロディーレーン、キセキが出走してきます。

【凡走した上位人気馬】

人気を集めながら(=客観的には買い要素があったにも関わらず)凡走した馬を見ていきます。

まず何と言っても日経賞組の相性の悪さです。
上記8頭のうち6頭が日経賞組です。ことごとく人気で沈んでいます。日経賞組は近年の連対馬も輩出していませんでしたから、とにかく相性の悪い臨戦過程と言えます。今年で言えばミッキースワロー、モズベッロ、スティッフェリオ、エタリオウが該当します。

メイショウテッコン、ガンコ、ゴールドアクターら先行馬であっても結果は出ておらず、前述の「前に行きそうな馬を買えばよいというわけではない」ということがここにも表れています。

今年の有力馬の一頭ユーキャンスマイルは昨年3人気5着。敗戦後に「流れに乗れなかったし、内に入れたかった」とコメントが出ていました。昨年フィエールマンにつけられた決定的とも言える差を1年でどれだけ詰められたでしょうか。もともとこの馬は右回りでモタれる癖があり、出足が鈍いので位置取りが後ろになりがちです。天皇賞春は外を回して差しきれるレースではないので、2018年のレインボーラインのように鮮やかに内を突けるかが鍵になるでしょう。

今年は連覇のかかるフィエールマンが有馬記念以来で出走してきますが、年明けを叩かずに出走してきた馬は近年いません。しかし昨年2着のグローリーヴェイズは1月の日経新春杯以来という臨戦でしたし、外厩隆盛の時代ですから長距離戦であっても休み明けに過敏になる必要は無いのかもしれません。

【今年の上位人気馬】

フィエールマンは史上5頭目の連覇を狙う。最大の焦点は「有馬記念以来がどうか」だが、サンデーの更新を見ても状態面の不安は無いと見る。師からは「昨年の状態よりも上」という声も聞こえており、今さら天栄の直行ローテにケチをつけるのはナンセンスだろう。凱旋門賞帰りの有馬記念でも改めて現役屈指の強さを垣間見せたし、ここは堂々の主役。

ユーキャンスマイルは天皇賞秋4着、ジャパンカップ5着と着実に力をつけている。しかし一線級が相手だと自分でレースを作れない弱みが致命的となっている。阪神大賞典は快勝だったが、レースレベル自体には疑問が残る。ただし今年のメンバーは低調なので上位評価は妥当か。

キセキはついに川田を降ろしてきた。父を彷彿とさせる出遅れが続いているが、この馬の強さはやはり先行してこそであり何としてもスタートを決めたいところだろう。それでも鞍上込みで押し出された人気になるだろうから重い印は回しづらい。

ミッキースワローは日経賞を快勝。近年は全く結果の出ていないローテだが、遡ればフェノーメノは日経賞をステップに連覇を果たしている。セントライト記念勝ち馬という共通点もある。ただしフェノーメノとは異なり、どうしても他力本願のレース運びになってしまう点が天皇賞春では大きなビハインドだろう。

メイショウテンゲンは阪神大賞典3着。スタミナは十分だが、とにかく斬れないので京都が向くとは思いづらい。消耗戦になれば…といったところだが、キセキが行かない限りスロー確定だろうから難しい展開になりそう。

【考察】

今年はメンバーが低調です。加えて大阪杯組の出走は2年続けてゼロ。「春古馬三冠」というボーナスが2017年に誕生したわけですが、長距離路線離れの著しい昨今を見るに確実に廃れていく称号だと思っています。寂しい思いもありますが、長距離を走れば疲れも大きくなると言われれば、軽視する陣営が増えるのも理解はできます。

今年はフィエールマン1強でしょう。ユーキャンスマイルは確かに成長していますが、右回りのこの舞台で昨年つけられたフィエールマンとの差を覆すのは難しいと思います。

取り上げていない馬で気になる馬を挙げれば京都巧者ダンビュライトと前走で新味を見せたスティッフェリオでしょうか。一人旅が叶いそうなダンビュライトは要警戒だと思います。ただダンビュライトは12月に去勢手術をしており、それでも未だに気の悪さを見せているようなのでいきなりの長丁場がどうなのかという懸念は拭えません。

スティッフェリオはステイゴールド産駒で血統的な下地もありますし、差しに転向した今なら漁夫の利的に突っ込んできてもおかしくありません。エタリオウを外から競り落とした日経賞は見どころがありましたし、距離延長もいけそうなレースぶりでしたね。

【注目馬】

☆フィエールマン
★スティッフェリオ


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