オークス 2020

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参考記事:【Winning FIVEの復権】

アーモンドアイの圧勝にはあえて触れず、今回のヴィクトリアマイルで感じたのは上位陣(と言っても3,4,5着)の見事な仕上げです。

この通り、3着ノームコア、4着トロワゼトワル、5着ダノンファンタジーは軒並み2桁馬体重減だったわけですが、全馬とも前々走では2桁馬体重増でした。つまり「前哨戦を前哨戦として使い、しっかり照準を合わせてきた」(そして結果を出した)と言えるでしょう。お見事です。このような仕上げができる調教師は一流だなと個人的には感じます。毎戦必勝が理想的であることは分かりますが、あくまで最大目標がG1でしょう。その馬のバイオリズムをしっかり把握し、古馬になったからこそ組める逆算ローテがあるはずです。昨年と違うローテを組んでしっかりモズスーパーフレアに高松宮記念を勝たせた音無調教師も見事でしたよね。馬を押し上げるのも調教師、足を引っ張るのも調教師です。

アーモンドアイは史上初の芝G1【8】勝目に王手です。安田記念、天皇賞秋、JCあたりであれば十分にチャンスがあるでしょう。

【近年の連対馬6頭】

1人気が4連勝中。
人気薄もカレンブーケドールとモズカッチャンですから、決してフロックではなく力のある馬が順当に上位に来たと今なら言えます。このあたりは【NHKマイルCの傾向】とは異なりますね。

カレンブーケドールやモズカッチャンが人気薄であった理由は桜花賞路線に乗れず、あくまで裏街道からオークスへ駒を進めてきたからでしょう。裏街道とはえ、どちらも前哨戦1着からの臨戦であったことは忘れてはなりません。「超競馬考」でも書きましたが「弱い馬は速く走れませんが、強い馬は遅く走ることができます」。ボルトが小学校の運動会に混じって走ったところで、ベストパフォーマンスが出るわけがありません。これを理解していないと「メンバーレベルが低い」「タイムが遅い」と過剰に勝ち馬の評価を下げてしまうことにつながります。

カレンブーケドールのスイートピーSは【37.3-33.3】の上がり勝負であった上に、上位争いを演じた馬は先週ようやく1000万下を卒業したシングフォーユーと1000万下を勝ち上がれていないセリユーズですから、言わずもがなレースレベルは低かったのです。しかし「勝ち切った」ことに意味があったのだと僕は解釈しています。

今年のメンバーで「OPクラスを勝ち切って」駒を進めてきたのはアブレイズ、ウインマイティー、ウインマリリン、デアリングタクト、デゼルの5頭。おそらく初めの3頭は伏兵サイドなので要警戒ですね。

【凡走した上位人気馬】

人気を集めながら(=客観的には買い要素があったにも関わらず)凡走した馬を見ていきます。

コントラチェックエンジェルフェイスは共にフラワーCを逃げ切っての臨戦。今年で言えば番手から押し切ったアブレイズが非常に近い存在に思えます。ただ、アブレイズは上位人気には支持されないでしょう。

サトノワルキューレはフローラSを追い込んで勝った馬で、今年で言えば同じディープインパクト産駒のデゼルとレースぶりが被りますね。この年はアーモンドアイが勝ったのですが、1番枠のリリーノーブルが2着、3番枠のラッキーライラックが3着。実力的にも納得ですが、トラックバイアスもあったように思います。今年も明らかに内枠先行が有利な馬場状態ですから、追い込むデゼルには鬼門では。

レーヌミノルはダイワメジャー産駒らしく距離の壁でしょう。今年の上位人気には、血統的に明らかに距離不安が懸念される馬はいませんね。

【今年の上位人気馬】

デアリングタクトは3戦無敗の桜花賞馬。キレるというよりパワーを感じる破壊力抜群の末脚で、エピファネイアを彷彿とさせる。ただし33秒台の末脚を使ったことがないのは事実だし、桜花賞の重馬場が味方したのも事実だと感じる。東京の良馬場で間に合うのかは疑問が残るし、マイルしか経験がないことも逆らう余地としては十分だ。

デゼルはスイートピーSを軽く飛んで制した。中距離以上の馬作りをする友道厩舎だけに舞台設定は申し分なさそうだが、短期間に2度の関東遠征は気になる。脚質的にも強くは推しづらい。

クラヴァシュドールは桜花賞で位置取りが響いて4着だったが、血統的には距離が伸びて良いだろう。2017年オークス3着のアドマイヤミヤビと重ねて見ている人は多いはず。キャリア2戦でサリオスに食らいついた東京は良いはずだし、巻き返しが期待できる。

ミヤマザクラは武豊騎乗で人気を集めそうだ。この馬も距離延長は良さそうに思えるが、いかんせんG1でパンチ不足の一族。キレないので内枠、スタートを決めることは不可欠だろう。

【考察】

先週のアーモンドアイや来週のコントレイルに比べてデアリングタクトの信頼度は何枚も落ちるはずです。重馬場の桜花賞の反動が怖いこともありますし、初のマイル以外、初の左回り、初の輸送、これだけ初物尽くしな上に、鞍上もこのプレッシャーでG1へ臨むのは当然初めてでしょう。馬券的なことを考えれば、ここでデアリングタクトを嫌うのは極めて妥当な判断だと感じています。

そして昨今の東京の馬場を考えれば、経済コースを通ることは圧倒的なアドバンテージですから枠順も鍵になるでしょう。先週のサウンドキアラは大外枠ながら松山騎手が素晴らしいエスコートを見せましたね。あの立ち回りができそうな馬はどれか、操縦性の高さも大きな武器になりそうです。

【注目馬】

☆クラヴァシュドール
★ウインマリリン


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